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vol.95 クリエイターのサーモスタット

仕事で、クライアントが妙にデザインに参加してくる場合がありませんか?
レイアウト理論を持ち出したり、撮影のテクニックを語ったり、
妙に小道具に固執したり…

これは、クライアントがデザインについて(多くの場合中途半端に)
聞きかじってたり、自分の感覚に強いこだわりを
もっていたりする場合に起こります。

まあ、クライアントがデザインの事を知ろうとする努力は
奨励するべきことであると思うので、
ぜひ努力して欲しいと個人的に考えたりはします。

しかし、これが度を過ぎたり、的が外れていたりすると困ったことになるのです。
そして、多くの場合「度が過ぎ」ていて「的が外れている」のですが(笑)

このカットはこのアングルから撮って、この片隅にはこんな小物を置いて…
と、言うだけならまだしも、撮影現場を仕切り始めたりなんかする。
はっきり言って効果としては影響はない部分で、事細かにこだわって
時間を浪費し、現場が午前様になり、後かたづけなんか当然せずに、
「じゃ明日は9時からね」などと平気でいう方も居られたようです。

最近では、
制作室まで乗り込んできてモニターを見ながら「あ、ちょっと右」だとか、
「う~む」などと考え込んだりする(あんたが考え込んでどーする!笑)方など…
(ちなみに私は、モニターを見せる事など『絶対に』させませんが。。)


こういうヤカラは、はっきりいうと「ウザイ」のです。
いくらクライアントの要望といえども、制作には予算があるし納期だってある。
しかし、そんなこと頭から無視して、やりたい放題、乱暴(!)の限りを尽くす…

私の場合こんなタイプのクライアントに出会うと、
よく、クリエイターとしてのサーモスタットが切れるのです。

サーモスタットとは、
温度によって自動で電源を入れたり切ったりする装置のことです。
これが、切れてしまう。

イヤ、切れるというのは、暴れ出すという意味ではなくて
(これは別なスイッチが入った状態ですね。笑)
思考停止してしまうのですね。

もう、考えない。
「あんたの好きにやり~な。」「そのかわりどーなっても知らんで~」状態です。

もちろん良くない状態です。

ただ、思考停止というのはそれ以上進化はありません。
退化することはあっても、進化はありえません。

たまに「あぁこんなんじゃいけない!もっとちゃんとしなきゃ!」と考えて、
思考停止状態を抜けようとするのですが、これは進化じゃなくて、
退化を食い止めようとしているだけなんですね。(自戒を込めて…)

こんな思考停止状態に、ベテランならまだしも
若手のデザイナーがなってしまったら…ツライですよね。


でも、昔からデザイナーという仕事はそうなりやすい状況があるのです。

そもそもクリエイターなんて人々は、お山の大将的な人が多くて、
根は我の強い人ばかりなのです。
でも、意外に精神的には弱くてちょっと壁があると
フニャっとなってしまいがちです。

まあ学校へ通っているうちはそれでもいいでしょう。
ところが、現実の社会ではワケの分からない有象無象を相手にしなければならず、
自分の思いは雲の高さだけど、現実の仕事は泥の海…
まさに雲泥の差という奴です。


そして元々精神的に強くないけど(…でも志は高い)人々が、
このギャップを合わせて自分に取り込むなど至難の業です。

仕事における、理想と現実のギャップを埋める…といっても、
これはどの業界でも同じでしょうし、私が知っている限り
デザイナー業界だって数十年もの間、理想と現実の距離は、
開きこそすれ縮まることは無かったと思います。
(ま、理想は人それぞれかも知れませんが…)


まあそれでも、デザイナーを思考停止に追いやる要素は
様々あるのですが、その原因とは、そもそも「何」でしょう?

思いつくところをおおざっぱに言うと、
予算やコスト削減、タイトなスケジュール(もっともスケジュールに余裕が
あったことなど、20余年のデザイナー生活であまり覚えがありませんが。笑)、
等々があります。

でも、
一番は直面するクライアント(担当者)対策でしょう。
こいつをコントロール出来なきゃ、明るい未来はやってこない。

スケジュールだって、予算だって、仕事の内容だって
その根本はクライアントにあるのですからね。

で、これをどうしようか?
こうすれば?こう考えれば?などなど私が思いつく限りのことを
書き出そうと思い、サイトとメルマガを始めた…
原点がこれだったのです。

で、結局どうするかというと
サーモスタットが切れるんじゃなくて、自分自身をクリエーターモードから
対クライアントモードに思考のスイッチを切り替えようということなのです。

この「スイッチを切り替える思考に持っていこう」というのが、
このメルマガの趣旨なのです。


メルマガをしばらく出していないことと、
ひょっとして新しく登録された方もおられるんじゃないかと思って、
ちょっと原点に帰ってみました。

次回はもう少し突っ込んだところを
二回ぐらいに分けて書きます。

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