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ちょっとナマなデザインフィーの話

二年前にあったおはなし…

さる新規クライアント先でのうちあわせ…
外は一月の風が吹きすさんでいるのだけれど、
打ち合わせコーナーにある窓は、すりガラスなので、
外が見えず日差しだけが入ってくる。
だから、そのコーナーはポカポカとやたら暖かい。

しかし実際は、
暖かいというよりはホットな話が
そのコーナーでは繰り広げられている。

「ふむふむ。なるほどなあ。よーわかるわ。」
「ですから、この構成を一度御社内でご検討頂きたいのです。」
私よりは5~6歳は若いと思われるその担当者は、
提案した会社案内の構成案を気に入ったようだ。

前回の打ち合わせから今日までの間に、ネットで業界のことを
調べていたことも、信用を得るひとつになったようだ。
提案した構成案自体は、オーソドックスなものだ。
でもその中で、どれだけ親身にクライアントのことを
考えてあげられるか?がポイントである。

実は私は、その部分については自信がある。
たまに自分自身「おい、おい」と突っ込みたくなるほどなのだけど、
でも、これは実際の所、巧妙な「おべんちゃら」なのだ。

つまり、「世渡り上手の罰当たり」と言う奴である。

しかし、巧妙な「おべんちゃら」でなんとかなるものと、
ならないものがあるのだ。それが…

「なるほどな。で、全部作ったらナンボになるのん?」

というクライアントからの攻撃である。
しかし、

「で、これつくったらナンボ儲かるのん?」

攻撃よりはまだマシである。
自分が儲かる金額は出せても、人が儲かる金額までは計算できない…
しかし、プランナー、マーケッターの提案ならそこまで出している。
もっとも、それは往々にして絵に描いた餅なのだけど。。。

ともかく今回は、
「で、全部作ったらナンボになるのん?」攻撃が始まった。
もちろん、その攻撃も予測はしていたので、打ち合わせの冒頭に
「ある程度煮詰めたお話をしないと、制作見積もりは難しいです‥」と
釘を刺しておいたのだけど、どうやら納得の度合いがこちらの予想以上に
深いらしい。
ともかく必要以上に気に入ってくれているようなのだ。

ある意味うれしい誤算かもしれないのだけど、
制作費はある程度ぼかして進める方が後々上手くいくことが多いので、
本日の所は、それこそケムリに巻いて消えるつもりだったのだ。

ところが、いきなり「ナンボ?」と来た。
営業も「どうしよう‥」という字を顔に書いている。
私も、「・・・・」と詰まった。。
とそのまま、1分ほど押し黙る。

これがテレビ番組なら、放送事故である。(笑)
このまま黙っていても前へ進まない。
提案内容は非常に気に入ったし、進行方法も満足だ。
後は値段だけなのだ。
値段だけが、気に入るかいらないのか不明なのだ。
‥と、クライアントの顔に書いてある。

このまま沈黙がつづけば、営業が勝手に売りやすい値段を口走るに違いない。
そうなれば、こちらのモチベーションに影響する。
そこで、私は腹をくくった。

「まず撮影ですが、ざっくり二日要すると計算して12~13万円‥」
「デザイン料はページ当たり2万円となり、12ページですので24万円」
「基本的にテキストをいただく前提ですが、若干まとめてコピーワークが
必要になりそうですので、この部分に3~4万円と」
「大体40万前後となりますね。」

営業の顔は引きつって、固まっている。
こづいたら「コーン」といい音がしそうである。(笑)

「う~ん、ということは印刷費もいれて50万強ぐらいか‥」
すこし天井を見ながら、クライアントは腕を組む。
私は、私で改めて「ウチの印刷は安いなあ」と思った。
それもどうかと思うのだが‥

「よっしゃ!決めた!お願いするわ」
なんだか、あっさり発注が決まった。
長年この仕事をやっているが、目の前で発注OKがでるのははじめてだった。

さてこの会社案内12ページで制作費40万と言う数字だが、
皆さんはどう思うだろうか?
ウチの担当営業は「冷や汗たらたらモンでしたわ」などと言っていたが、
私自身、この仕事に関わるスタッフの頭数やかかるであろう時間を考えても
(といっても私だけだが‥)妥当か、もしくは安いぐらいかと思っている。
(10年前からすれば破格の安さだと思う…)

世間相場から離れて久しいので、これが妥当かどうかははっきり言って
わからない。
しかし、これよりもずっと低い金額で請け負っている所は多いだろう。
私の勤め先の営業なら、この値段の半額ぐらいで請け負うこと間違いなしだ。

しかし、私はこの40万は必要な数字だと思う。
別に半額で決まったからといって、私の給料が半額になるわけでもない。
しかし、社会も業界も、そして自分も先のことを考えたら、
やはり金額で突っ張らなければいけないのだ。

このメルマガでは時折、デザイン費のことについて
話すことがあるのだけれど、
デザインという仕事の「やりがい」の影には「報酬」というものが
必ず存在している。
大先生クラスになると、もうあまり関係ないのかもしれないが
多くのデザイナーと名のつく仕事をしている人々は「報酬」に
大いに関係があるはずだ。

さて、
帰り道すがら営業がぽつんと聞く
「もし安くしてくれって言われたらどうしました?」
「ん?多分まけてたと思うで。」と、私。。。
「やっぱし‥相手と面と向かうとまけるでしょ?」と営業…
「でもな‥」
「安くしたら‥手は抜かんけど、気は抜けるわな。。。」

自分の口からふいにでたのだけど、
ちょっと気に入った言葉だった。


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