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300ページの孤独

今から数年前の話‥

「32ページぐらいがええなあ」
「そうですねぇ。。」
「56ページでもええわ。。」
「それもええですね。」
「100ページ超えるとあかんわ。。。」
「そうですねぇ。。」
「もう覚えられへんもんな。。」
「そうですねぇ。。」

何の話か…
300ページを超えるカタログのミニラフを前にして
ボ~っとそんな話をしているのだ。

話相手は、この仕事に関係のない奴だから
テキトーな合いの手しか入れてこない。

ミニラフとは、各ページのサムネイルをページ順に並べたもので、
ページものを作成するとき全体を見渡すことのできる、
海図のようなものを指します。

海図‥そう300ページともなると、海図といっても過言ではない。
未知の大海原へ旅立つようなものだ。
どんな化け物が出てくるか、どんな苦しい航海が待っているのか?

もちろんこの世の中にはもっと困難な仕事があるに違いない
そんなことは分かっている。
わかっているのだけれど、毎年この仕事をやる前に必ず愚痴を言う。

毎年やっているということは、航海といっても同じところを回る
ルーティン作業のように思われるかもしれない。
しかしいつも、予算緊縮という化け物は出てくるし、
全ての足並みが揃わないのにスケジュールは短縮という
魔女に騙されたりする。
ともかく、苦しい航海になるのは間違いない。

一体どこまで予算と納期は圧縮されるのであろうか?

すでに予算は全盛期の半分。納期は三分の二になっている。
制作スタッフにいたっては三分の一だ。
もともと三人だったから‥

なんだオレ一人じゃねーか!

こんな孤独な作業をしなくてはならないデザイナーは
いったい日本中にどのくらいいるのか?

実はこの二年後、私は病に倒れるのだが、
今思うと、予算や納期が圧縮されたことのプレッシャーよりも
孤独な作業を続けなければならない‥という
見えにくいプレッシャーのほうが大きかったと思う。

そう、
航海中に出てきた化け物の正体は、
予算緊縮でも、納期短縮でもなかったのだ。

何かを圧縮すると、それが元々適正なものであれば
必ずどこかに支障をきたす。
その圧力は出口を求め、
一番弱っている部分から噴出するのである。

この場合、適正人員配置だったものを圧縮したおかげで
圧力という化け物は私の身体を襲ったのである。

今これを読んでいる方々で、思い当たるフシがある人は
勇気を持って、クライアントなり上司に進言して欲しい。

適正なものを削ると、
必ずとんでもない化け物が出てくる‥と。

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